ウイッグ装着が心と体の健康に及ぼす効果 ―ウイッグによるむくみについて考えるー

 何かの原因で髪の毛を失う時もあれば、闘病中に止むを得ずかつらの使用をすることがあります。ストレスが多い現代では、必ずしも抗がん剤だけでなく、更年期で出会う様々なストレスから生じる脱毛現象!急な外見の変化でかつらを使用する女性が増えています。

ウイッグ選びには髪の形や色・長さなど☆外見を中心にかつらを選ぶ方が多いのが現状です。しかし、わたくしが注目していることはウイッグの内側です。ウイッグは意外に体にかかる負担が多く、長時間使用することで顔や頭周辺にむくみが出来ることが分かってきました。*1 オシャレで被る帽子と違い、頭部に接する面積も広いため血流の低下により、頭・首・顔周囲に大きな負担がかかります。*2

 その負担はどのくらい大きなものだろうか?!どのくらい圧力がかかるだろうか?!どのくらい筋肉に影響を及ぼすものなのか?!ウイッグの中で起きている現象やそれに起因する体の変化を研究し、多くのことがわかってきました。その中でもウィッグが起こす頭部から顔面にかかるむくみを解明するため、圧力テスト実験を行いました。ウイッグの内部にかかる圧力を体が感じ取る圧力として数値化すると、体にかかるウイッグの圧は、その他の被り物と比較しても常に体の負担が多いことが分かりました。*2

図1.ウイッグ全体が受ける被服圧

 しかし、そのむくみの原因はウイッグだけでなく、ウイッグを被る前のネットにも問題があることが分かりました。オシャレで被るウイッグとは違い、闘病中の医療かつらをご使用中の方を考えるとその肉体的疲れや精神的ストレスは測り知れません。
 ズレることなく頭部にフィットさせるため意外に圧力が強く、一か所ではない全体に同時に締め付けるウイッグは頭痛や肩こりなど体の疲れを超え、痛みにつながる慢性的苦痛を訴える声も多くあります。血管や神経が集中している頭部周囲でウィッグを支えるため、圧や疲労感を感じやすい視覚神経にも近いデリケートな場所でもあるからだと考えられます。多くの先行研究からもわかるように、外見中心の医療ウイッグ選びでなく、心の健康も考慮した医療ウイッグの開発が急がれている気がします。

つづく・・・        

*1「ウィッグ装着が心の健康に及ぼす効果を探る」,金笑榮・伊江邦男,日本家政学会第71回大会,2019年
*2「花嫁かつらの伝承に関する研究」、金笑榮P120-127、2018年
*3「東大病院における外見ケアサービスの発展」,分田たか子ほか,日本癌治療学会第55回学術集会抄録P112-4,2017年                                                            
*4「脱毛を経験した乳がんの女性患者のウィッグ購入に関する実態調査」,田代陽子ほか,日本癌治療学会第53回学術集会抄録P113-5,2015年   

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